【現役ペインターが解説】車の塗装 クリアのコツ3選

ペイント

どうも、KOBAです。

塗装楽しんでますか??

今回は塗装の『クリア』について

 

カピバラ
カピバラ

・初心者だけどクリアを上手く塗るコツが知りたい!
・できればクリアを垂らしたくないな…
・クリアに向いてるスプレーガンってあるの?

 

こんな疑問に対して

僕なりのポイントや考え
記事にしていこうと思います。

✔️本記事の内容です。

  • クリア塗装のポイント3つ
  • クリアを垂らさないコツ
  • クリア塗装に向いてるスプレーガンを使う
  • まとめ

こんな感じになってます。

ちなみに僕、KOBAですが、

塗装経験は11年
某ディーラーでリーダーをしながら
年間塗装台数は600台ほど
小さな”タレ”はあるものの
大きなタレの記憶はここ数年ありません。

こんな人です。

詳しくはプロフィールに書いてますので、
”気になった”
というちょっと変わったあなたは
こちら社畜ペインターKOBAのプロフィールを読んでもらえると嬉しいです。

それでは行きましょう!

クリア塗装のポイント3つ

僕が考えるクリア塗装のポイントは3つあります。

・パターンの重ね
・ガンを動かすスピード
・クリアの肌を見る

この3つです。

それぞれ解説します。

パターンの重ね

パターンの重ね具合で塗料の塗った量
変わってきちゃうんで
大事なポイントです。

よく言われるのが
パターンの1/3とか1/2とかですよね。

でも、
ぶっちゃけよく分かんないし、
イメージしずらいんですよ〜。

僕はそうでした。

角度や塗装している場所の関係で
パターンが見えなかったりもしょっちゅう起こってたし

いちいちパターンの重ね見ながら塗装するなんて
面倒くさくてやってません。

でも、品質を高く、一定にしなきゃならないんで、
どうやったかというと

『スプレーガンのキャップ1個分パターンをズラす』

です。

厳密にはシッカリ1個分って難しいと思いますけど、
あくまでイメージ。

でも、闇雲にパターンの1/3とか意識するより
実際に目で見てハッキリ見える部品ですから
メッチャ分かりやすいんですよ。

よく見えますから、
どんな形のパネルを塗る時でも
これを意識するようになってから
明らかにクリアの肌がより均一になってます。

後輩からも
『分かりやすい』
って評判の方法です。

ガンを動かすスピード

パターンの重ねがイイ感じになったら次は
『ガンを動かすスピード』
です。

正直この部分が一番ブレます。
その日の自分の感覚で早くも遅くもなっちゃうから
結構やっかいです。

それなのに
これの”速い”・”遅い”でも
クリアの塗る量が変わっちゃって、
仕上がりに直結しますから困ったもんです。

上でも言ってますが、
言ってしまうと
これは感覚の部分がデカいんです。

でも、

『その人が塗りやすいスピード』

って必ずあるので、
まずはそれを見つけることが一番の近道かと僕は思ってます。

動かすスピードってスプレーガンの

『特徴』

『吐出量』

でも変わってくるので
それも合わせながらいろいろ試して
仕上がりがイイ時のスピード感
覚えていきましょう。

ちなみに僕は多分速い方です。
感覚的に1mを1秒くらいかな?
まぁ、ウチの会社の中での話ですけどね。

直接教えてる後輩はもっと速いですwww

クリアの肌を見る

いろんなマニュアルで最初の方に

『肌を見ながら塗りましょう』

って、よく書いてますが、
塗装始めたての人がクリアの肌見ながら塗装って
無理ですよwww

最初からそんな余裕ありませんって!

感覚的に上のことがそこそこ身についてから
ようやく塗装中の余裕が出てくるかな〜
ってレベルです。

実際に後輩に教えながら
聞いたら、

『正直、無理っす』

と素直に答えてくれたんで、
信憑性高いと思います。

で、少し余裕が出た段階の話ですが、
やっぱりクリアの肌見ながら塗れる
品質が一定になるんで大事ですね。

パターンの重ねの感じとか
塗り込み具合とかが
目で見て確認できるのは強いです。

タレそうなら時間おいて
塗り込みを抑える

足りない感じなら
もう少し塗り込みや重ねを多くする

なんていう『調整』ができるんで
一気に仕上がりが安定します。

プラスで肌が見れるようになると
『自分の塗装の癖』
がわかってくるんです。

これは思わぬメリットでした。

弱点がわかれば後は対策を取るだけで
弱い部分の克服できますから、
より一層のレベルアップが期待できます!

クリアを垂らさないコツ3つ

次は垂らさないコツです。

これも3つあって

・希釈率
・塗り込み量
・フラッシュオフタイム

の3つです。

それぞれ解説します。

希釈率

結論から言えば『硬いクリア』で塗装する

です。

硬いクリアっていうのは
『シンナー』などの
希釈するモノの割合を
少なくしたクリアのことで。

極端に言えば
シンナーで希釈しない
主剤と硬化剤だけのクリアです。

そもそも、希釈って何?って人もいるかもしれないので
ここで説明。

希釈(きしゃく、稀釈)とは
濃度を下げるために媒体の量を増加することである。
様々なものの濃度を調節することは、極めて多くの場面で重要である。
溶液の場合、溶媒を追加することで任意に希釈を行うことが出来る。
Wikipediaより引用

難しいけど要は
ドロドロのモノをサラサラに近づけること
って感じ?

で、それがいろんな場面で大切だよって言ってるんですね。

なんでそれがタレないことに繋がるのかっていうと
『絵の具』
をイメージして欲しいんですが、

絵の具って水入れて
少しサラサラにしてから塗るじゃないですか?

それが普通の割合で希釈したクリアです。

次にチューブから出したまんまの絵の具を
イメージしてください。

ドロドロしてて、
絵の具を出したパレットを逆さにしても落ちないじゃないですか?

極端ですけど、
あれが希釈してないクリアです。

なんとなくタレないイメージができましたか?

それで、
塗料メーカー推奨は10%〜20%
の希釈率ですが

僕の塗ってるクリアは
希釈率2%〜5%
の間です。

数値だけでもなんとなく
硬いのがわかってもらえました?

そりゃ、塗り込んでもタレにくい
ですよwww

その分、塗りにくくなってますから
スプレーガンの性能が大事になってくる訳ですけど。

それは後の項目で説明します!

塗り込み量

簡単に言えば、
タレるってことは
『クリアがいっぱい塗られてた』
状態な訳です。

それを塗り込み量をシッカリ把握することで、
より均一になるよう塗装するって考えですね。

具体的には、
『塗る順番や塗りだす方向』
毎回変えるってやり方です。

イメージしやすいように

フロントドア交換
リヤドア交換
ブロック塗装2枚のみ

を例にすると

例えば
塗り開始位置が左の下から塗り開始だとすると
1回目はそのまま左下から。

で、2回目はその
右下から塗装開始する。

こんな感じになります。

なんでわざわざ変えるのか?

ですが、

『塗膜の厚さを一定にするため』

にやってます。

どうしても塗装はその人のクセが出やすいので、
同じ塗り方だと塗り込み量に偏りが出て

クリアが厚いとこ
クリアが薄いとこ

が出ます。

そのまま同じように2回目いっちゃったら
さらに塗料の膜圧に”差”が出ちゃって
結局それがタレになるんですよ。

だから、塗る順番を変えて
その膜圧の差を小さくしてあげるのが
地味に重要だったりします。

後は
『塗り継ぎのポイントを毎回ズラす』
ってこともやってます。

考え方は開始位置を変えるのと同じです。

この考えが無かった時は
よく塗り継ぎポイントでタレてました。

フラッシュオフタイム

まず、
『フラッシュオフタイム』
って何?ですが、

フラッシュオフは,被塗物の表面に塗着した塗料に含まれる揮発成分のうち,
大部分のものを次の塗装工程又は焼付け工程に移る前に蒸発させることをいう。
単にフラッシュと呼ぶこともある。
フラッシュオフさせるのに要する時間をフラッシュオフタイムという。

より引用

『次の塗装に入るまでの時間』
ですね。

なんでこれが重要か?
って言うと、
シンナーが抜けてない状態ってのは
上で書いたように『サラサラ』に近い状態です。

当然塗料も固まってませんから、
動きやすい状態ですよね。

その状態で、さらに上から塗料が乗ったら
そりゃ重力に負けてタレやすくなりますよ。

だから、
『フラッシュオフタイム』
をシッカリとって、
塗料が動きにくい状態になってから
塗装しよう!
って流れです。

ちなみに、
僕はこれをシッカリ取るようにしてます。

時間で言うと10分くらいですかね?

この時間がもったいないんで、
クリアの1回目の塗装が終わった段階で
僕はベースコートのスプレーガンを洗ってしまいます。

その時間が大体10分くらいなんです。

で、塗装ブースに戻ってくると
ちょうどよくシンナーが抜けた状態
2回目の塗装ができると言う訳。

ちなみに
フラッシュオフタイムをシッカリ取るメリット
もう一つあって、
シンナーがちゃんと抜けた状態で塗装すると
『ピンホール』
起きずらくなります。

ピンホールは
乾燥後に出てくる不具合
すんごく小さな針で刺したような穴が塗装表面にあくことですね。

これの発生要因に
『シンナーの抜けが不十分』
ってのもあるんで、ピンホール対策にも
『フラッシュオフタイム』
をシッカリ取るのはメリットです。

何より、乾燥後のクリアの仕上がり
目で見てよくなってるのを実感するはずですよ。

クリア塗装に向いてるスプレーガンを使う

スプレーガン好きの僕が
実際使ってよかったラインナップがこちらです。

サイドカップ

・明治F-ZERO タイプB
・アネスト岩田 kiwami RT clear用
・デビルビス ルナ マーク2 i 255キャップ

センターカップ

・アネスト岩田 WS400
・SATA 5000B C.C
・デビルビス DV1 clear用

僕は
技術じゃなくて、
道具に頼るってのも大事な考えだと思ってます。

使う用途によって道具を使い分けるのは当然です。

料理人でも、食材によってとか、
料理によって使う道具ってちがうじゃないですか?

果物切るのに出刃包丁使わないし、
魚捌くのに果物ナイフ使いませんよね?

あれと同じ感覚です。

なので、
使う状況によってスプレーガンも使い分けよう
ってのが僕からの提案です。

選んだポイントですが、

・硬いクリアでキレイに微粒化してくれる
・パターンが広い
・楽に塗れる

この3つです。

それぞれの特徴をピックアップしてます。

基本的に僕の好みのスプレーガンは

ポイント

微粒化がよく
パターンが広くて
塗料が薄くフラットに着いてくれるスプレーガン

って感じです。

あくまで参考程度に考えてください。

それでは解説です!

サイドカップ

明治F-ZERO タイプB

サイドカップ

明治F-ZERO タイプB

微粒化がイイ(フワッと出てくれる)

パターンはそこまで広くない

塗料の着きはまあまあ

希釈率が低いとちょっと重たい肌になりやすい。
でも塗料の出方が優しいから塗ってて楽。

塗り手次第で細かい肌や膜圧のある肌など
いろいろと便利なガンです。
その分自分で塗り込み量などを把握する必要が出てきますね。

 

アネスト岩田 kiwami RT clear

サイドカップ

アネスト岩田 kiwami RT clear

シンナー0でもキレイに微粒化してくれる

パターンは広い

塗料の着きはまあまあ

いつもと同じ感覚で硬いクリアが塗れる

微粒化・パターン・塗料の着き具合
すべて”ちょうどイイ”感じのガンです。
良くも悪くもクセがなく使いやすいかもです。

 

デビルビス ルナ マーク2 i

サイドカップ

デビルビス ルナ マーク2 i

微粒化はまあまあ

パターンは広い

塗料の着きは一番イイ

ドバッと出るのがデビルビスの特徴ですが、
程よい感じに仕上がってます。
でもドバッと出ます。

ドバッと一気に膜圧着けて仕上げたい人には
フィーリングが合う印象です。
パターンがかなり広いのも使いやすいポイントですね。

 

センターカップ

アネスト岩田 WS400

センターカップ

アネスト岩田 WS400

微粒化一番イイ

パターンはそこそこ広い

塗料の着きは
吐出量のセッティングに一番影響される

塗り手次第で良くも悪くもなるスプレーガンって印象。
でも、
自分のセッティングを見つけたら一番使いやすいスプレーガンです。

 

SATA 5000B C.C

センターカップ

SATA 5000B C.C

微粒化はWSより粒がデカい

パターンは一番広い

塗料の着きはちょうどイイ感じで、
塗り手を選ばず使いやすいガン

5000Bにしかなかったクリア専用キャップの
『C.C』
薄膜フラットなパターンで
誰が塗ってもイイ感じに仕上がってくれる
万能ガンって印象。

最新モデルのX5500のラインナップには『C.C』が入ってないのが
残念…

※記事執筆時 2020 12/29 生産は終了してるみたいです。
 ほんとに残念です。

 

デビルビス DV1 clear

センターカップ

デビルビス DV1 clear

微粒化はイイ感じ

パターンは広い方

塗料の着きは一番イイ

やっぱりデビルビスなんで、
塗料の着きは一番です。
ドバッと出るけど、塗りにくい印象はなくて、
近いやすいガンです。

僕は塗料が薄く着いてくれる
『C1 +』
を使ってます。

 

以上、だいぶ長くなりましたが、
ラインナップのおさらいです。

気になるスプレーガンがあったら
こちらからどうぞ!

サイドカップ

・明治F-ZERO タイプB
・アネスト岩田 kiwami RT clear用
・デビルビス ルナ マーク2 i 255キャップ

 

センターカップ

・アネスト岩田 WS400
・SATA 5000B
・デビルビス DV1 clear用

こんな感じです。

まとめ

以上が僕が塗装のクリアで気にしているポイントです。

いかがだったでしょうか?
少しでも参考になってもらえたら嬉しいですね。

今回の記事をまとめると

・クリアを塗るときの注意点を知って
・硬いクリアを使って
・性能のイイ、クリアに特化したスプレーガンで塗る

こんな感じになります。

塗装って一回一回が真剣勝負で、
同じ仕上がりを安定して提供するってかなりハードル高いです。

だからこそ楽しい部分でもありますよね!

誰でも、コツコツ技術を磨いていけば
必ず自分が納得する仕上がりを提供できるようになります!

僕も引き続き腕を磨いていきますので、
一緒に頑張っていきましょう!

これからも少しでも役に立つコンテンツを届けられるように
僕も頑張りますので、このブログをよろしくお願いします!

それでは!

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